時代とともに変化するカジノのインテリアデザイン

誰もが憧れる空間であるカジノは、内装、デザイン、家具のディティールに特段の注意を払います。というのも、カジノは高級感、照明、高級素材、その他全てとても高価なもので溢れている場所ですからね。さらに、常連客を惹きつけるには、インテリアに特別な注意を払っていかなければならないのです。

また、カジノには、インテリアに多くの時間とお金を費やす「それなりの理由」が多々あります。たとえば、インテリアデザインがプレイヤーたちの行動に影響を与えるということ。プレイヤーたちがそこでプレイしたくなるようなインテリアであれば、それが直接カジノ収益に結びつくのです。

一昔前のカジノインテリア

ゲストを惹きつけ、収益を増やす上で最も重要な役割を果たすのが、カジノのインテリアです。ゲストがカジノのインテリアデザインを気に入ると、居心地が良いので長くとどまります。

カジノのインテリアデザインの重要性に気づいた最初の人はビル・フリードマンという人物で、彼の名はギャンブル業界ではよく知られています。

長年読まれているフリードマン氏の著書『Design a Casino and Dominate the Competition: Friedman’s International Casino Design Standards(カジノをデザインして競争に勝つ:フリードマンの国際カジノデザイン基準)』はカジノ界で大変人気があり、この本を読んだことのないカジノのインテリアデザイナーはまずいないでしょう。

フリードマン氏の基準は、照明の暗いインテリア、低い天井、迷路のような部屋と通路の配置、最小限の装飾品です。このデザインの目的は、プレイヤーたちの注意をギャンブルテーブルやマシンに集中させ、気をそらすものを排除することです。

フリードマン氏の考え方は、インテリアデザインにおける最も人間的なアプローチとは言えませんが、カジノの収益を最大化させることにおいてはお墨付きで、それゆえに今でも持てはやされています。

現代のカジノインテリアデザイン

フリードマン氏のカジノインテリアの原則は、数年前まで非常に人気がありましたが、近年はカジノデザイナーたちがカジノのデザインについて新たなアイデアや構想を打ち出すようになっています。

その新たなカジノインテリアデザインは「プレイグラウンド(遊園地)・デザイン」と呼ばれ、デイビッド・クレインズ氏が1995年に出版した『プレイグラウンド』というシンプルなタイトルの著書からそう呼ばれています。このカジノデザインの原則は、大成功を博したフリードマンのコンセプトとは大幅に異なるものですが、時代が変わってきたということでしょう。 

時の流れとともに、フリードマン氏が唱えたような、暗いカジノの中で長時間座り続けることは、人間にとって良いことではなく、やはり快適で明るい気持ちで過ごせる方が良いと認識されるようになりました。

プレイグラウンド・デザインのカジノは、明るくオープンな空間で、薄暗い迷路のような場所とは打って変わるものです。プレイヤーは気軽に訪れることができ、ふんだんな自然光や装飾品に溢れ、これらは過去のカジノには見られないものでした。

別の著名なカジノインテリアデザイナーであるロジャー・トーマス氏もまた、ニューヨーカー誌にて「人々は閉じ込められ、混乱し、おどおどしたような状態でギャンブルをしたいとは思わない。カジノのプレイヤーたちにそんな気分を味合わせたくはない。」とコメント。

そのため今日では、どのギャンブル施設の造りを見ても、部屋が一段と明るくオープンで、楽しげな雰囲気に満ちており、ギャンブラーたちに良い影響を及ぼすような特別なエネルギーを放っていますね。